韓国「日本は徴用工賠償をどうするつもりか」と…
5月7日に韓国を訪韓した岸田首相だが、この訪韓でやっと文在寅政権前の日韓関係にまで修復させたといえるだろう。韓国をG7参加へ導き、福島原発の処理水にしても韓国から専門家視察団の受け入れを決めた。
そして、岸田首相は訪韓時の会見でも元徴用工問題に対して日本政府の変わりない立場を継続するとした。
それにもかかわらず、韓国メディアでは相変わらず「日本は徴用工賠償をどうするつもりか」「尹大統領は米日のほうばかり見過ぎではないか」といった指摘をしているところがあり、ウンザリさせられる。
文在寅政権がぶち壊した日韓米の関係を5年間体験した韓国国民はいまどう思っているだろうか。
明確なことは、気兼ねなく日本文化を内外で楽しんでいるということだ。
いま韓国から日本に旅行する人が急増しているのに加えて、韓国では日本製品の人気が高まって品薄になるものまで出ている。そんな韓国に住んでいて、自分の「理想」や「思想」を国や国民に押し付けようとする行為には違和感を禁じ得ない人が増えている。
「親日派」とは「懸命に暮らしてきた人たち」
かつて韓国の漫画家が「いわゆる親日派というのは、懸命に暮らしてきた人々である」と指摘して、物議をかもしたことがある。当時、私がこの騒動を見ながら、日本で過ごして時のことを考えたものだ。
そもそも、うちでは祖父が朝鮮総連、親が民団であり、まさに家の中、会社の中に38度線がある様なものだった。うちの祖父も幹部でもあったが、組織が生活を支えてもらえるほどの幹部ではなかった。
だから、家族はみんな一生懸命働いた。いまより組織の活動が活発だった頃は、毎月二回ほど支部から人が訪ねて来ていた。そこで次回の活動参加(デモ、集会、大会)や、寄付を募るのだが、都合がつかなかったり、行きたくない人たちは、寄付で相手に帰ってもらうものであった。
私も高校時代には、小学生から始めていた新聞配達のおかげで毎月15万円以上稼ぐようになっていた。
私は著書『それでも韓国に住みますか』にこういった日本で過ごした時の生々しい体験を詳しく綴っているが、私は基本的には、資本主義的な社会で、自分たちの生活を豊かにしようとするもの(政策、思想)に対して批判的な行為に疑問を持たざるを得ない。人生を豊かにするために働くのは当たり前だが、それを批判する先に何を求めているのだろうかと思ってしまうのだ。
「反日」の虚しさ
だからこそ「いわゆる親日派というのは、懸命に暮らしてきた人々である」という言葉も、空虚に叫ばれる反日思想と比べると、よほど身をもって響くのである。
韓国でも、いよいよそうした「反日」の虚しさに気が付き始めた人が増えてきている。そしてそれは日韓関係にとっていい兆候であることは間違いない。
そこに水を差すように反日アピールする人たちは残り続けるだろうか、確実に、一歩一歩、変化は起き始めているように思うのだ。