元講談社次長、無罪主張し妻殺害否定　差し戻し審

東京都文京区の自宅で2016年、妻を殺害したとして殺人罪に問われた講談社の青年コミック誌「モーニング」の元編集次長、朴鐘顕被告（48）の差し戻し控訴審初公判が3日、東京高裁（大野勝則裁判長）であり、弁護側は「検察の有罪ストーリーと矛盾する痕跡もある」として、改めて無罪を主張した。検察側は控訴棄却を求めた。

弁護側は「証拠から言えることを厳密に考え、無罪の痕跡に目を向けてほしい」と述べた。被告はスーツ姿で出廷。名前や住所などを答えた以外に発言の機会はなく、硬い表情をしていた。昨年11月の最高裁判決は「審理が尽くされたとは言い難い」として、一審に続き懲役11年とした二審判決を破棄し、審理を差し戻していた。

朴被告の弁護人は3日、高裁に保釈請求した。

朴被告は16年8月に妻、佳菜子さん（当時38）の首を圧迫し、窒息させて殺害したとして逮捕、起訴された。弁護側は「産後うつなどで精神的に不安定になった妻が、階段の手すりにジャケットをくくり自殺した」と主張し、自殺か他殺かが争点になっている。

差し戻し前の二審・東京高裁判決は「妻の額には深い傷があり、自殺だとすれば意識があるうちに血を拭うなどした痕が顔や手に残るはずなのに、それがない」との理由で自殺を否定した。

最高裁判決は、顔の血の有無は控訴審で争点となっておらず、高裁が証拠とした顔の写真は色調が不鮮明だと指摘。検察、弁護側双方に主張立証を尽くさせる必要があるとした。〔共同〕

日本経済新聞　2023年10月3日 23:06
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